株式会社堀江コンサルティング

ブログ「海外駐在の極意」

海外駐在の極意 No.10【中国】

2019.01.04

北京留学、台湾駐在9年、今回は2度目の上海駐在の赤池さん。15年前から中国大陸に進出し、大陸全土に300店舗以上を持つ人気店サイゼリヤの上海副総経理の役割を終えて年末に帰国される予定。来年以降は海外事業戦略部で、同社の海外事業をヒト・モノ・カネの観点から推進される。「どこの国で働くのかはあまり重要ではない」、「どこに行っても基本的にはヒトはヒト」、「ぶれないミッションを持つことが何よりも大切」、といった言葉が印象的でした。

氏名
赤池真由美
現職
海外事業戦略部 マネジャー
国・都市
中国・上海
期間
2017.7-2018.12 (1996年北京留学、2004-2013年9年台湾、2013-2014年上海)
会社名
上海薩莉亜餐飲有限公司(上海サイゼリヤ)
役職
董事副総経理 兼 人事部長
機能
店舗統括(上海約130店)
従業員数
・約1,000人(ほぼ全員が正社員)日本人3人
・北京、広州、台湾、シンガポールなどいずれも日本人3名体制
直属上司
日本本社取締役/上海薩莉亜董事長兼総経理
楽しかったこと
・「自分の機嫌は自分で取る」がモットーゆえ自分で駐在は楽しくした。
・社外の諸先輩方、社内の若い人たちと親しくできた。
・台湾時代苦しかったときも助けられたのが社内外の人脈。今も一生の友人が上海、北京、台湾にいる。
・苗族の刺繍
・テーラーメイドの衣装づくり
苦労したこと、大変だったこと
・ない
・上海はインフラが整っている。
・強いて言えば、人を信頼しやすい性格なので、ちょっと裏切られたり、誤解が生じたりすることはあった。
マネジメント上で成功したこと
・赴任のミッションは「基盤づくり」。スタッフから「組織や風土が変わってきてるよね」と少しずつ感じてもらうことができたり、寝ていたと思っていた人が動き出したりしたときは嬉しかった。
・「問題の見える化」のため、自分で店舗を訪問して探るなど、いろいろなことを試行錯誤しながら実行した。
・「ヒトの見える化」=どこにどんな人がいるのか、が少しずつ明らかになってきた。
・「日本のものをそのまま持ち込みたくない」と思い、「中国人社員が自ら自主的につくった」と感じてもらえるように進めた。
・「副総経理」という立場をできるだけ使った。
・他社の人と話していると、自分が意外と大きな仕事に従事していると思えた。
マネジメントでやり残したこと
・「基盤づくり」、「問題の見える化」、「ヒトの見える化」はまだ道半ば。これからは出張でフォローしていきたい。
・もう少し役職と権限があればやりやすかった。
現地のマネジメント
・どこの国でも「ヒト」は「ヒト」なので基本的には同じ。
・ただ、背景や、国・会社・リーダーに対する考え方が異なる。かみ合わないのは必ずしも言葉ではないということは理解しておくべき。
・中国:リーダーが存在していて自分は言うことを聞く、リーダーから「何をすべきか」は与えられるもの
・日本:リーダーを自分で選ぶ
・総経理やライン長で赴任する場合は、ミッションを明確に示し、しっかりモノを言うことが求められる。
・副××、といったラインからはずれたポジションは、組織上、直接指示をするポジションではないため、現地の人を動かすためにどうするかを日々考えなければならない。赴任する方は明確なミッションを持っていないと、流れに身を任せて楽な道を歩いてしまうかもしれない。
駐在が成功するための鍵
・役職と権限の使い方がものを言う。責任とセットになるが、店舗面談ではあえて「副総経理という立場で来ています。要望を聞きたい」とよく言った。
・「ぶれないミッション」を持つことが大切。結果がわかりにくいミッションは達成が難しい。
・なーなーの日本人駐在員、異動の度に方針がころころ変わることが組織をダメにし、チャレンジしない風土を醸成する。
・「海外赴任は仕事をしにきている」という当たり前の意識が重要。
また赴任したいか
・海外はダイナミックでいろいろなことができるからいい
・ただ、「どこで仕事するか」はあまり重要ではない。
・どんなミッションと権限をもってどんな業務をするのかが重要。