株式会社堀江コンサルティング

ブログ「海外駐在の極意」

海外駐在の極意 No.7【シンガポール】

2018.04.06

若い頃からの念願がかなった海外駐在はシンガポール。「公私ともにとても充実した日々で、家族を含め、人生の良い経験になった」とのこと。お話をしていると、赴任地シンガポールのみならず、社内外、業界や国籍を超えて、いろいろな人のお話を楽しそうにされる。どこに行ってもすぐに誰とでも親しくなられ、そして、その関係をずっと大切にされる、人並みはずれた人材ネットワーキング力。この強みはどこから来ているのだろう。

氏名
安藤嘉規
現職
三井化学株式会社 執行役員人事部長、関係会社統括部および海外地域統括会社担当
国・都市
シンガポール
期間
2005年4月から2009年3月の4年間
会社名
Mitsui Chemicals Asia Pacific, Ltd.
役職
GM, Feedstock and business planning
機能
Mitsui Chemicals Asia Pacificは、アジアパシフィック地域内の統括会社。 ①原料調達: 大手石油メジャー、他化学メーカーや商社を相手に主にシンガポールの化学プラント向けの原料契約交渉、調達関連業務  ②地域における新事業企画、工場設立企画準備
従業員数
約80人程度
国籍(JS/NS)
日本人:20人程度(その後 2013年18人、2018年7人と減少) 現地人:60人程度(その後2013年68人、 2018年71人に増加) 現地化をどんどん進めてきました。
直属上司
solid lineは執行役員日本人駐在員のMD。dotted lineは本社事業部長。
直属部下
直接的には現地採用者 2人、間接的な業務の関わりは工場含め大勢。
楽しかったこと
・住みやすい街で、公私ともに生活を楽しむことができました。入社前から海外志向がありましたが、入社後は、システム部、労働組合、原料調達、工場人事、と海外勤務が実現しなかったので、入社20年近くにしてシンガポール赴任が決まったときは嬉しかったです。
・現地では、日本ではなかなか経験できないようなダイナミックな仕事に従事することができたことが良い経験でした。
・仕事やPrivateを通じて、社内外のいろいろな人とおつきあいすることができ、今も多くの人と繋がっています。シンガポールで得た人の繋がりは、まさに一生の財産です。
・後半3年間は家族も共に住んでいました。息子(小5)と娘(小1)をインターナショナルスクールに入学させ、最初は二人とも慣れない英語や授業で大変でしたが、すぐに慣れ、今も英語への興味を持続しています。息子は東京のシンガポール料理屋でアルバイトしています(笑)。休暇を使ってアジア諸国へ旅行もできましたし、生活の幅はかなり広がりました。
苦労したこと、大変だったこと
・自社工場主原料の調達の責任を負っていましたので、サプライヤーのトラブルなどで数量が切れそうなときなどはきつかったですね、
・石油メジャーの交渉相手の多くはシンガポール人でした。交渉はもちろんあうんの呼吸など通じませんから大変でしたが、海外で働く上では当たり前のことですけれど。
マネジメント上で成功したこと
・離職率は比較的低い会社で、今も10年以上の勤続社員は多く、Senior ManagerやDirectorレベルも多く出て活躍しています。
・シンガポールEDB(経済開発庁)とも関係を構築し、多くの担当官と親しくしました。内、一人は、自らの帰任の際に後任として当社に来てもらいました。
今は現地事業会社の社長を務めています。
マネジメント上で失敗したこと
・部下の昇格や昇給では現地の人事セクションとは結構ハードにやりあいました。その相手がその後人事のDirectorになり、自分が今人事部長として、同じ目標に向かって仕事をすることになるとは思いませんでしたが。
成功するための鍵となる能力・スキル
・ポジティブに前向きに考えること。
・人間関係構築力、人間関係維持力、ネットワーキング力、どんな人かを探る洞察力など、人付き合いはとても大切です。
・どの国でも同じだと思いますが、語学力だけではなく、意思を明確にし、はっきりと主張することが大切です。明確にしないと伝わらず誤解も生じます。
現地のマネジメント
・キャリアパスを考えてあげることが大切です。例えば、海外で工場長まで昇った40代の人のその後のキャリアをどうするか。当社では、グループグローバルでの共通の人材マネジメントの仕組みを立ち上げて、運用を始めました。
これから海外駐在する人が準備しておくべきこと
・海外事業会社の社長になるような場合には、「経営」について学ぶ機会があればより効果的でしょうね。帰任後、人事部に異動する前に、自分が行かせてもらったKelloggのエグゼクティブコースは非常に密度が濃く、良い経験でしたが、海外事業会社社長に就く人には更に有益だと思います。
・いつも赴任する人にアドバイスしているのは、「海外に赴任したら、内にこもらず、家族ともども、一生に何度もないこの機会を楽しんでほしい」ということです。
・英語はもちろん勉強しておくに越したことはないです。私の場合、学生時代から好きな「MLB」関連の本や雑誌を読むことでで勉強しました。英語の勉強を苦痛と思わず、好きなテーマで学ぶことが効果的だと思います。
次の駐在はどこがいいか?
・子供の頃から世界地図を眺めるのが大好きで、いつかこの広い世界を経験したいと思っていました。
・次の赴任の機会があるかどうかはわかりませんが、会社の異動天命のようなものですし、機会があればどこにでも行きます。